ー「身体拘束」とは何なのかー(その②)
ー「身体拘束」とは何なのか―(その②)
さて前回、「もともと「身体拘束」は、高齢者施設における・・」と記しましたが、少し説明不足でしたので補足しておきます。
概ね高齢者・障害者福祉が現在の体制になった2000年の介護保険制度施行以降にスポットを当てたつもりでしたが、当然それ以前も身体拘束は医療・福祉の施設で数多くおこなわれてきた経緯があります。
とりわけ医療現場、特に精神医療の分野では、「抑制」「隔離」「行動制限」等の言葉で、今でいうところの身体拘束がおこなわれていました。ただそれも昔の話で、患者への人権配慮の観点から、現在は精神症状のみを理由とする拘束はほとんどおこなわれていないようです。ただ高齢者福祉の充実とともに課題になっているのが、特に認知症状の進んだ人に対しての身体疾患の治療です。拘束をおこなうには、先の3原則(「一時性」「非代替性」「切迫性」)はもちろん踏襲されていますし、何より病院では「医師の判断」が大前提になります。しかしながら拘束が原因といえる疾患も多発し、人権侵害も合わせ裁判になった事例も多くあります。
ここまで書くと、福祉サイドの人間からは、「ウチの施設ではあり得ない」という声が聞こえてきそうですが、病院と福祉施設とでは土台が違います。「生命の維持」がテーマである医療現場では、カテーテルの抜去、投薬の拒否、転倒転落の危険等、どうしても拘束が避けられない場面があります。いっぽうの福祉施設では、「拘束が必要なら病院へ」という不文律があるのも疑えない事実です。「安全をとるか、人権をとるか」という難しい選択を日々強いられている医療現場に、我々福祉の人間はむしろ敬意を払うべきと思います。
さて、裁判例についてももう少し。「拘束の是非」を原告側が問う場合、それは上記のように「拘束により不利益を受けたこと」が争点になることが多いですが、実は、「拘束がおこなわれなかったこと」で病院側が訴えられ、転落防止のための抑制をしなかった病院側の責任が認められたという事例もあるのです。
では、いま我々障害の現場の人間は、何を基準にして身体拘束を考えなければならないのか、その際ほんとうに大切にしなければならないものは何なのか、次回考えてみたいと思います。
身体拘束とは何なのか
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